ISO9001

ISOについて その1

ISOとは何のことなのでしょうか。ISOについて非常に詳しい人と全く知らない人がいるという両極端の面があるように思います。つまり、輸出関連の製造業の方々はISOをよく知っており、反面、教育、文化関係の方々は全く知らない人々が多いようです。私もISOを取得したばかりですので、それほど詳しくありませんが、少しばかり解説いたします。

ISOとは国際標準化機構(International Organization for Standardization)のことで、1947年に世界に通用する製品、用語、方法などの規格の標準化を促進するために設けられた機関です。IOSではなくて、ISOとしたのはギリシャ語のISOS(イソス・・・相等しい)から引用したそうです。現在、スイスのジュネーブに本部が置かれており、わが国をはじめ120カ国以上が参加しています。

ISOの代表的な規格としては気象情報で使われている圧力の単位、写真のフィルム感度を表わす規格およびネジの規格などがあります。歯科の分野では「リーマ」や「ファイル規格番号」があり、「ISO、40のリーマ」といえば世界中同じ規格として、その形態や太さなどが国際的に統一されています。

現在ISOではマネジメントシステムの規格として、ISO9000シリーズとISO14000シリーズ等があります。ISO9000シリーズは品質保証に関するもので、ISO14000シリーズは環境保護に関するものです。ISO9000は元来は、製品の品質(Quality)を顧客(消費者)に保証するためのマネジメントシステムの規格として生まれたのです。でき上がった製品の品質を保証するためには完成品をチェックして、規格通りに仕上っているかを確認する方法がそれまでのやり方でしたが、それにたいして、製造段階におけるミスを未然に防いだり、トラブルが発生した場合の処理や改善、管理体制をきめることにより、生産の段階から品質を高めていこうとするのがISOの規格の考え方となりました。

ISO9000において、これらを組織管理に始まり、製品(原料)の受注から材料の仕入れ、生産、さらに、問題発生時の解決など体系的に管理する方法として規格化されたのです。したがって当初は、「モノ」を作り出す製造業に適用できるように規格化されたのです。つまり、製品の品質管理を規格するのがISOのシステムなのですが、これをサービス業の分野では「サービスの質」と理解し、医療もサービス業の一分野であることから、歯科では、「患者様に提供するデンタル・ヘルス・サービスの質を保証するための歯科医院全体の仕事の仕組み」の規格化と考えました。

ISO9000シリーズを導入することにより、その歯科医院内のデンタル・ヘルス・サービスの質を保証する仕組(規格)を作るわけです。

「歯科医院のためのISO9000入門」先端歯科医療協同組合、編著

クインテッセンス出版(株)を参考にしました。

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ISOについて その2

当院の取り組みと認証取得まで

数年前からマスコミ誌上で、構造改革、財政改革、産業改革、医療改革等々の「文字」が目につくようになりました。バブルがはじけて、日本社会がそのような方向に動き出していきました。(欧米ではすでに一足先にそうした改革が行われていたようで、日本は少し遅れました)私も歯科医院を運営する上で、このままでいいのかと漠然と思うようになりました。ちょうどその頃、歯科医院においてISO取得の記事を目にしました。そこには「品質保証の国際規格であるISO9001を歯科医院に導入することにより、歯科医院の業務品質を向上させることができ、その結果、患者様の満足度向上につながる歯科医療サービスを目指す」というような内容でした。私は「これだ」と思いました。私はさっそくISOを取得するよう動き始めました。2002年春のことです。

なにしろISOに関して全く知らなかったわけですから、どのようにしたら取得することができるのかも全くわかりませんでした。しかし、ちょうどその頃に(その1)に記載した「歯科医院のためのISO9000入門」という本が出版されたので、とりあえず買って読むことから始めました。そこでは、認証を取得することを決めてから実際に取得するまでには、一般的に一年から一年半の期間を必要とし、このうち最初の期間は品質マニュアルや各種の規定の作成を含む品質システムの構築を行うそうです。(この作業を行うにあたっては通常、専門のコンサルタントの指導を受けるのが一般的だそうです。)その後、その品質システムに従って業務を行い、その実績をもとに認証審査を受けるという仕組になっています。

ここで一つ問題があります。つまり、ISOの取得を「独学」によって取得するのか、あるいは、「コンサルタント会社」に依頼して取得するのかということです。また依頼するならば、どのコンサルタント会社にすべきかということです。

ISO関連の本を開くと、そこには一覧表に、いくつかのコンサルタント会社と、認証機関が記載されています。つまり、ピンからキリまであるということでしょう。

私はコンサルタント会社に依頼する方法を選択しました。ISOを学ぶとわかると思いますがいろいろな用語が出てきます。「品質」「品質管理」「品質保証」「品質目標」「品質方針」「品質計画」「品質記録」「品質システム」等々、「品質」だけを挙げてもざっとこのくらいの用語があります。ちなみに「品質」という言葉からは、製造業における「テレビ」「冷蔵庫」、「自動車」などの製品の品質をイメージしがちですが、英語では品質を「Quality」としていることから、さまざまな業種における管理体制の「質」と考えると理解しやすくなります。

とりあえずISOの用語のことはさておいて、一流企業などでは、その会社独自でISOの規格要求事項に対応した品質システムを作り、そのマニュアルを作製して、ISOを取得している会社もあるそうですが、中小の企業ではなかなかそれが困難のようです。その理由は、ISOの規格要求事項の解釈と、それに対応した品質システムの構築とそのマニュアル作製がかなりむずかしいという点です。仮に自分自身で作製したとしても、自分自身の仕事を犠牲にし、膨大な手間と時間を要す(ある意味では浪費)からです。さらにISOの審査登録料だけで約200万円かかりますから、独学で取得すれば「これだけ」で済みますが、上記したように、実際には多くの困難が伴いますので、専門のコンサルタント会社に依頼するのが一般的です。コンサルタント料に関しては、ISOを取得する組織の規模にもよりますが平均して400万円くらいかかるので総額600万円程度必要ということになります。(私の依頼したコンサルタント社の費用は、審査、登録費、受講料込みで約450万円でした。)


ISO9000における要求事項 (表1)(実施しなければならない事項)の主要な部分

4.品質マネジメントシステム 
4.1一般要求事項 
4.2文書化に関する要求事項 
5.経営者の責任 
5.1経営者のコミットメント 
5.2顧客重視 
5.3品質方針 
5.4計画 
5.5責任、権限およびコミュニケーション 
5.6マネジメントレビュー 
6.資源の運用管理 
6.1資源の提供 
6.2人的資源 
6.3インフラストラクチャー 
6.4作業環境 
7.製品実現 
7.1製品実現の計画 
7.2顧客関連のプロセス 
7.3設計・開発 
7.4購買 
7.5製造およびサービス提供 
7.6監視機器および測定機器の管理 
8.測定、分析および改善 
8.1一般 
8.2監視および測定 
8.3不適合製品の管理 
8.4データの分析 
8.5改善 

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ISOについて その3

日本全国で、開業している歯科医院は約65,000軒ぐらいです。その内、ISO9001を取得している歯科医院はといえば、正確なデータは不明ですが、2003年の現在で、まだ100軒に満たないようです。そのうちの大半は、(その1)の「歯科医院のためのISO9000入門」の編著の「先端歯科医療協同組合」が、コンサルタントをして、ISO9001の取得を、行っています。(しかも、その大半はグループで取得しており、その方が費用が安くてすむそうです。)

その中心的あるいは指導的な人物が、「相川敦」さんという方で、温厚でISOにも歯科医療にも詳しく、「河田」さんという優秀な元歯科衛生士をスタッフに抱え、「デンタリンク株式会社」の社長さんをしています。私はこの「デンタリンク(株)」にコンサルタントを依頼し、2002年の7月からISO取得に向けて取り組み始めました。

しかしながら、コンサルタント会社に「丸なげ」すればすべてコンサルタント会社がISO取得までやってくれるかといえば、そうではありません。ISOに関する仕組み、ISOの歴史や、目的、ISOの用語などについてのもろもろの講議を受け、その後に当院に関する品質システムと、マニュアル作りをしていくのです。(ISOの規格要求事項を知らなければシステム作りもマニュアル作りもできませんので)、ISO9001取得にあたっては、まず表1に示すISOの仕組について勉強することからはじめなければなりません。この講議には、社長の相川さんが直々に当院に来てくれました。2002年7月19日から当院の取り組みが始まりました。

上述しましたように通常はISO9001取得までは1年から1年半くらいかかるのですが、「デンタリンク社」は、今まで数十軒の歯科医院のISO取得に関わっていますので、だいたいの「マニュアル」はできているのです。

したがって、そのマニュアルに当院のシステムをあてはめたり、あるいは逆に当院のシステムに合うようにそのマニュアルを改変したりすれば良いわけで、私を含めて当院のスタッフ全員の「ヤル気」さえあれば、約半年で取得できると考えました。相川さんにその「意欲」を伝え、表2に示すスケジュール表を作ってもらいました。


開催スケジュール予定(表2)

集中講義  ISO講義(1)、懇親会  2002年8月31日(土)午後
2002年9月1日(日)終日 
院長  東京 
集中講義  ISO講義(2)  2002年9月29日(日)終日  院長
管理責任者 
東京 
全スタッフ講義  ISO講義(3)患者接遇マナー研修  2002年10月26日(土)午後
2002年10月27日(日)終日 
院長
全スタッフ 
東京 
集中講義  ISO講義(4)  2002年11月17日(日)終日  院長
管理責任者 
東京 
個別訪問指導  2002年12月上旬(1日)  院長 管理責任者  貴医院 
内部監査員養成セミナー  2003年1月(2日)終日  管理責任者  神戸BVQI  
内部監査  2003年2月中旬(1日)  院長 全スタッフ  貴医院  
フォローアップ監査  2003年3月中旬(1日)  院長 全スタッフ  貴医院  
ISO予備審査  2003年4月  院長 全スタッフ  貴医院 
ISO本審査  2003年5月  院長 全スタッフ  貴医院 

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ISOについて その4

実際は、表2に示すよりも約1ヶ月ほど早くISO9001取得に向けてスタート(2002年7月19日)しましたので、結果的には約1ヶ月ほど早く、2003年4月14日にISO9001の認証取得を果たすことができました。

ISOの審査認証機関にもいくつかあるそうですが、デンタリンク社の推薦でビューロ・ベリタス・クォリティ・インターナショナル(BVQI)の審査を受け、ISO9001の認証を取得しました。BVQIの本審査を受ける前にまず、予備審査(2003年2月10日)というものがあり、まず、これをパスしないと本審査が受けられません。無事に予備審査をパスし、3月3日に本審査が行われました。2週間後には本審査にパスしたことをデンタリンク社から通知され、3月中には認証取得の証書が送付されるものと期待しましたが、実際には書類作製に手間どり、4月14日になったというわけです。一方、ISO9001は一度取得したら、それで終りではありません。ISO9001は継続して、業務を実施することが基本ですので、有効期間というものがあって、3年ごとに認証期間による更新審査を受ける必要があるのです。さらに3年の間にも認証機関による維持審査が半年ごとに行われます。当院でもすでに本年の10月14日に第1回の維持審査を受けました。つまり、このように審査を継続することによって、ISO9001の効果を高めるようとするのがその目的と考えられます。

当院では、ISO9001を取得して約半年が経過しましたが、私自身もまだ十分にISOについて理解していませんし、ISO9001を十分に活用するレベルには残念ながら至っていませんが、今後もISOに関する理解を深め、可能な限り、ISOを活用して、有効に利用し、ISO9001を実践することにより、当院のレベルを上げ、よりよい歯科医療サービスを患者様に提供できるよう努めたいと考えています。

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ISOについて その5

今までISO9000とかISO9001とかについて、まぎらわしい言い方、書き方をしてきたかもしれないので、最後にまとめて整理したいと思います。

ISO9000は、1987年に発足し、わが国では、1990年代に入って、ISO9000の認証取得がブームになりました。当初は、ISO9000は、工業製品の品質を維持、向上するために考えられた生産手順管理の仕組のマニュアルとしてスタートしたものです。このように、製造業に適用することに向いていたISOが、徐々にその規格が整えられて、2000年版規格からはあらゆる業種に対応できるようになったということです。現在では、ISOでは認証を要するマネジメントシステムの規格として、ISO9000シリーズとISO14000シリーズなどがあります。ISO9000シリーズは、品質保証に関するもので、一方、ISO14000シリーズは環境保護に関するものです。くり返しになりますが、本来は、ISO9000は自らの製品の品質をお客様、顧客(消費者)に保証するためのマネジメントシステムの規格として生まれたものです。これを歯科医院に応用すると、「患者様に提供するデンタル・ヘルス・サービスの質を保証するシステム作り」と考えられます。つまり、くどくなりますが、ISOを導入することで、歯科医院内に、デンタル・ヘルス・サービスの質を保証する仕組みを作りあげようとするわけです。2000年12月に発行されたISO9000規格は次の三つからなっています。

ISO9000品質マネジメント システム‥‥基本及び用語

ISO9001品質マネジメント システム‥‥要求事項

ISO9004品質マネジメント システム‥‥パフォーマンス改善の指針

となり、それまでの規格について定義されていたISO9002及び9003は2000年版規格からISO9001に統合されISO9001は要求事項、ISO9004は推奨事項と考えられます。したがって、認証取得については、ISO9001の規格要求事項を満たしたシステムを作り、それを運用することにより、ISO9001の認証取得の対象になるということです。

以上、「ISOについて」おわり。

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