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笑気吸入鎮静法

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笑気吸入法について

リラックスして治療を受ける方法がある

「歯の治療がつらい」、「あの歯を削るキーンという音を聞くと体が緊張する」、「なにしろ恐い」など。歯の治療に対する不安や恐怖・緊張感を和らげ、落ち着いて治療を受けることができる良い療法が「笑気吸入法」です。

笑気吸入法とは

鼻から吸入マスクで酸素に適量の「笑気」という名前の甘い気体を混ぜたものを吸うと、体が心地よく暖かくなりリラックスして治療が受けられます。全身麻酔ではありませんから意識ははっきりしており、治療は普通に受けられ、ドクターやスタッフとの会話もできます。

笑気にはこんな利点がある

  • 注射麻酔と違い、麻酔後の違和感や痛みがありません。
  • のどや気管への刺激がなく、吐き気や悪心が起こりません。歯の型どりの際、「吐き気」がある方も楽に型どりができます。
  • すぐに効き、醒めるのも早いので、治療後もすぐ車の運転ができます。
  • 正気は肺から出ていき、体に残りませんから、体に悪い影響を与えません。
  • 心臓への負担が少なく、ショック症状が起きませんので、ご老人にも安全に使用できます。

最新の「笑気吸入法」で安全に快適に治療をお受けください。



笑気と近代麻酔の流れ

笑気についてもう少し詳しく述べたいと思います。それは、笑気(亜酸化窒素)がかなり以前から存在し、 今だに使用されている事と、笑気の麻酔作用に関するエピソードが非常に興味深い点にあります。

年表

1772年
ジョセフ・プリーストリー(英)による笑気の発見。
1799年
ハンフリー・ディービー(英)は、笑気の麻酔作用を発見、自ら吸入し、その結果から"Laughing  gas"と命名。
1804年
華岡青洲は麻沸散を用いて乳癌の手術を行った。
1842年
ロングは頚部腫瘍切除患者にエーテル麻酔を施行したが1849年まで発表しなかった。
1844年
ホーレス・ウエルズは自分の抜歯のために笑気麻酔を施行した。(麻酔医コルトン・歯科医リッグス)
1845年
ホーレス・ウエルズはハーバード大学医学部にて「鎮痛のための笑気の使用について」と題して講議、同 時に公開実験で抜歯のための笑気麻酔を施行したが患者が悲鳴をあげたため完全な成功は得られなかった(後 にこの患者は、まったく痛みを感ぜず、いつ抜歯されたかわからなったことを認めている。)
1853年
ジョン・スノウ(英)は、皇太子レオポルドの出産に際し、ビクトリア女王にクロロフォルム麻酔を施行 し、無痛分娩を行った。
1863年
コルトン(米)は、抜歯への笑気使用を普及させた。
1884年
カール・コラーはコカインの局所麻酔作用を広く開発。
1892年
カール・ルドウィッヒ・シュライヒ(独)は、コカインによる浸潤麻酔を提唱し、局所麻酔法を普及させ た。
1910年
マッケソン(米)は、間歇流出型麻酔器を開発。
1920年
ゲデルは麻酔深度に関する研究、Signs of Anesthesiaの刊行。
1957年
ランガ(米)は過去20年間に6万人に笑気アナルゲシアを実施したと発表(Analgesia for Modern Dentistryと題して発表)。
1966年
ルーベン(デンマーク)は過去10年間に300万人にNitrous Oxide Analgesiaを実施したと発表。
1968年
前述のランガはrelative analgesiaを提唱。
1969年
モーンハイム(米)は、20~40%の笑気濃度では完全な無痛は得られないことからanalgesiaという用語 は適当ではなく、hypoalgesiaという用語を提唱。
1972年
ベネットはモーンハイムの弟子で、彼の後継者となったが、笑気吸入による方法は鎮静を主目的とするた めに、conscious sedationという用語を提唱。
1972年
米国歯科医師会は、吸入鎮静法および静脈内鎮静法を含めた鎮静法を、psychosedationが適当と発表。
1972年
久保田は笑気吸入鎮静法を日本に紹介。
1974年
健康保険に導入された。
現 在
笑気吸入鎮静法として普及している。

エピソード

笑気および麻酔関係領域の簡略な年表を前に記したが、ここでは、笑気の麻酔作用の発見にまつわるエピ ソードについて、過去の歴史を振り返り紹介する。

酸素発見の1年後の1772年、英国の化学者プリーストリーは亜酸化窒素を発見した。

1799年に同じ英国人のディビーは、自分の智歯の痛みが笑気の吸入によって無痛になったことから、 笑気の麻酔薬としての可能性を示唆した研究を発表した、そして、笑気ガスを吸入すると陽気な気分になるこ とから、このガスを「笑気」と命名した。

その後、笑気は医学界から一時忘れられたが、米国においては、笑気を吸入した人を舞台にあげ、陽気に なって喜ぶ人をみて、また観衆が喜ぶという、他愛のない遊びとしてもてはやされていた。

1844年12月10日ハートフォードのクーラント紙に次のような広告が掲載された。

一酸化窒素、すなわち陽気ガスとか笑気ガスとかの名で呼ばれているガスの効能を示す大会を1844年 12月10日火曜日に、ユニオンホールで開催します。

40ガロンの同ガスを用意して、吸入希望の参会者には、どなたにも吸ってみていただきます。8人の屈 強な男を最前列の席に座らせ、ガスを吸った人が昂奮のあまり、自分や他人に危害を加えることのないように 注意しておりますが、これは参会の皆様に、何の心配もなく楽しんでいただきたいからです。実際は、ガスを 吸って暴力を振う人はおそらく1人もいないでしょう。このガスが効いてくると、ガスの性格や特色から考え て、笑うか、歌うか、踊るか、冗舌になるか、喧嘩するかです。後で後悔するような言動を、抑制できなくな るまで意識を剥奪することはないようです。

(注意)最上級の紳士の方にしか、ガスは御用立てしません。ガスを使用する目的は、粋な楽しみを味わ っていただくためです。科学的な楽しみを味わいたい方には、科学的な楽しみがあり……ガスで 味わえる愉悦は、どんな言葉にも表わせません。ローバート・サウジイ(詩人)はかつて、もろもろの天の上 のいと高き天の味わいは、このガスから生まれるといいました。ヨーロッパでも有数の、最も名の知れた人た ちに、このガスがどのような効能を及ぼしたかは、フーバー医学辞典を御参照下されば詳細に記述されていま す。

ガスの歴史や特性については、ガスの楽しみ会開会のときに説明いたします。また、アッと皆様のど肝を 抜く二、三の科学実験を楽しみ会の最後に行います。

この楽しみ会一般公開前に、コルトン氏はガスの吸入を希望する女性のための楽しみ会を、とくに同日1 2時から1時まで行います。入場無料、ただし女性に限ります。一般公開は7時から、入場料は25セント。

「笑気ガス」巡業一座の座長コルトンが開催した「笑気ガス楽しみ会」は満員となり、観客の中に29歳 の研究熱心な歯科医ホーレス・ウエルズがいた。ウエルズは新型の義歯について研究しており、無痛のうちに 抜歯したいという夢にとり憑かれていた。ウエルズは知人のクーレイという男が笑気ガスを吸入し、陽気に踊 ったり、笑っているのを眺めていた。その知人は跳ねまわっている間に、椅子の角に向こう脛を強くぶつけた 。ウエルズはその光景をみて、骨折音が聞こえたような気がして、自分がぶつけたように思わず縮み上ったが 、その知人はまったく痛みを感じないかのように愉快そうに踊り、笑い続けていた。この瞬間、ウエルズの心 に閃いたものがあった。

興行が終わると同時に、ウエルズは座長のコルトンに笑気の吸入装置を自分の診療所にもってきてもらい たいと頼んだ。翌日、ウエルズは自ら笑気を吸入し、助手のリッグスに自分の智歯を抜歯してもらった。笑気 の吸入によって無痛的に抜歯されたことを体験したウエルズは、正気に返り「これは今までにない大発見であ る。私は針ほどの痛みも感じなかった」といって驚いた。そして翌年1845年1月、笑気による麻酔の公開 実験をマサチューセッツ総合病院で行ったが、不幸にも失敗に終わった、一人の患者に笑気を吸入させて彼の 歯を抜いたのであるが、その患者が悲鳴をあげたからである。後にその患者は、まったく痛みを感ぜず、歯が いつ抜かれたかわからなかったことを認めているのだが、やはり今日のような鎮静法でもなく、笑気のみを全 身麻酔薬として使用したことに無理があったのである。その後、ウエルズは失意の人生を送り、笑気も再び医 学界から遠ざかってしまった。かわってエーテルやクロロフォルムによる麻酔が普及しはじめたが、1863 年、ウエルズに笑気を提供したコルトンが抜歯を無痛のうちに成功させ、再び笑気の有効性を主張し、その普 及につとめた。

その後、多数の功労者によって研究、改善が重ねられ、歯科領域では笑気吸入鎮静法として注目され、今 日にいたっている。

笑気は近代麻酔の歴史のはじめに使用されて以来、麻酔力が弱いという欠点にもかかわらず、反面、危険 性がきわめて少ないという長所のために、医科領域でもいまだに全身麻酔薬の最も一般的で基本的な薬剤とし て、今日広く臨床に使用されている。

以上は、私の著書「笑気吸入鎮静法のすべて」からの抜粋ですが、内容についてはユルゲン・トールワル ド著(塩月正雄訳)「外科の夜明け」・東京メディカル・センター出版部からの引用です。「外科の夜明け」 は、医学を学ぶ者ならば必読の書というべきで、当時、私は時間のたつのも忘れて読み耽った記憶があります 。

吸入鎮静法としての歴史

吸入鎮静法

吸入鎮静法は、意識を失わせない程度に吸入麻酔薬を鼻マスクから吸入させる方法です。通常は、20~30%の低濃度笑気 を70~80%の酸素とともに吸入させます。

今日では、吸入鎮静法では、すべて笑気のみ使用されています。

笑気吸入鎮静法がわが国に導入紹介されたのは、昭和47年から48年頃で(雨宮、久保田、金子、高北らが鎮静法を日本に 紹介)、当時は、笑気アナルゲジア(笑気無痛法)と呼ばれていました。それというのも1940年代から1960年代にかけ て、アメリカではランガおよびモーンハイムら、デンマークではルーベンら 一部の人々が積極的に笑気アナルゲジアを実施して いたのです。

本法が、日本に導入された当初、多くの(あるいは一部の)歯科医は、アナルゲジア(無痛)という言葉にまどわされて、無 痛的にすべての歯科治療が行なえると誤解してしまったのです。当時は無痛法とか、迷もう麻酔とか訳されていました。(高濃 度の笑気を吸入し、意識がもうろうとしている間に、痛みを与えず処置を行なう方法。)したがって痛みを伴う歯科治療(たと えば抜歯や抜髄)にも局所麻酔を併用しようとせずに、無痛を得ようとして、つい笑気濃度を上げてしまったのです。

その結果、高濃度の笑気を患者に吸入させることになり、患者の意識を消失させてしまったり、あるいは意識を消失させない までも非常に不快な気分にさせてしまったのです。たとえば80%以上の笑気を吸入させたとしても、笑気は麻酔作用がきわめ て弱いので、抜歯などの処置では、痛みを完全におさえることは不可能(かなりの鎮痛作用はありますが)ですし、低酸素状態 となって、(空気中には、約20%の酸素と80%の窒素ガスがある)チアノーゼが出現したりして、生命の危険が高まります 。痛みに対しては、笑気の吸入で取り除くのではなくて、局所麻酔を使用すべきなのです。

以上のような経験からアナルゲジア(無痛)という言葉を使用するのは問題であると考えられるようになり、1968年、ラ ンガはrelative analgesiaを提唱しました。

一方、モーンハイムは20~40%の低濃度の笑気吸入では完全な無痛は得られないことからanalgesiaという用語は適当で はなくhypoalgesiaという用語を提唱しました。1972年(昭和47年)、モーンハイムの弟子のべネットは、笑気吸入による 方法は、鎮静を主目的とするためconsious sedationという用語を提唱し、同年に、米国歯科医師会は吸入鎮静法および静脈内鎮 静法を含めた鎮静法をpsychosedationが適当と発表しました。

このような経過からわが国でも精神鎮静法という表現をするようになり、笑気吸入鎮静法(inhalation sedation with nitrous oxide and oxygen)という言葉が用いられています。つまり、現在では、笑気の吸入によって無痛を得ることではなく、 低濃度の笑気を吸入させることにより、多少の鎮痛効果(副産物として得られる)と患者の緊張を軽減し、気分の良い状態にさ せることを主目的と考えています。

前述しましたように、笑気は古くから存在する麻酔剤であり、その麻酔作用はきわめて弱く、かつ、副作用がほとんどありま せん。低濃度の笑気を吸入しても、生理的機能の抑制はほとんどなく、安全性のきわめて高いものです。

本法を紹介する書によっては、笑気吸入鎮静法を施行するについては、全身麻酔のトレーニングが必須であると書かれたもの がありますが、私は、使い方を誤らない限り、歯学の教育を受けた人ならすべての歯科医が使用してさしつかえないと考えてい ます。その理由の一つは麻酔作用がきわめて弱く、副作用がほとんどない安全なものだからで、そのため現在でも、使用されて いるのです。

もう一つの理由は、機器の進歩です。現在では、すべての笑気吸入器において、最高50%あるいは機種によっては70%以 上の笑気が流出しないようになっています。(したがって患者は30~50%の酸素を吸入することになり、空気中の酸素より も高濃度の酸素を吸入していることになります。手術後、酸素テントに入っている時と同じくらいの酸素を吸入しています。ち なみに、英国では救急車に50%笑気、50%酸素ボンベが積まれており、トレーニングを受けた消防士が心筋梗塞の患者など に車中でこれを吸入させて病院に移送しているそうです。)

一方、もし酸素ボンベが空になったりすると100%笑気を吸入することになり、その結果、無酸素状態となり生命の危険性 が高まりますが、そのような場合、機器が作動して、酸素が流れなくなると、笑気も流れないようになっています。(昭和40 年代は、まだ現在のように機器が改善されていませんでしたので、無酸素状態で植物人間になったり、死亡したケースもあった そうです。)もし仮に100%機器を信用できないとしたら、全身麻酔のトレーニングを受けたか否かによって、患者に対する 対処の仕方は大きく異なりますので、専門医の方がはるかに安全なのは、言うまでもありません。

さて、そろそろ終わりにしますが、最後に私の主張したいことがあります。それは、「低濃度笑気の吸入による効果は鎮静作 用なのか」という点です。「鎮静」という言葉を辞書で引くと「しずまり落ち着くこと」とあります。

笑気の吸入を体験された方はすでに理解されていると思いますが、笑気吸入の効果は前述の1844年の「笑気ガス楽しみ会 」にあるような「一種の愉悦的なもの」だと私は思っています。英語ではこのような気分をユーホリックというそうです。今風 に言えば、お酒に酔って、多少理性を抑制した「ハイ」になった状態に近いと言えると思います。歯科治療を前提にした笑気の 吸入と、教育的あるいは経験としての笑気の吸入は多少異なるものと思っていますが、私が長年、臨床実習で学生に笑気吸入鎮 静法として笑気の吸入を教育してきた中で「麻薬よりもいい」と言った学生が何人かいました。つまり私は「笑気吸入鎮静法」 という用語は適当ではなく、単純に「笑気吸入法」と称した方が都合が良いと考えています。このように考えると、笑気の吸入 法を理解しやすいのです。

笑気の吸入は、むしろお酒を飲んだ時の「気分」に近いと思えます。もちろん笑気とお酒はまったく異なりますが、人によっ て、お酒も気分が悪くなるので「飲めない」人がいるのと同様に、笑気を吸入すると「気分が悪くなる」人が5人に1人あるい は10人に1人必ずいます。このような人には、ムリして笑気を吸入させることはしません。別の方法を考えればいいのです。 私の経験ではお酒を飲めない人はたいてい笑気の吸入をいやがります。反対にお酒の好きな人は笑気の吸入を喜びます。(でも 、中には例外もいて、私の妻などはお酒を全く飲めませんが笑気の吸入を好みます。)

以上のことから、当院では、「笑気吸入法」という言葉を用いるようにしています。前述したように笑気の「鎮痛効果」を考 慮すると、むしろ「笑気鎮痛法」と表現したいとさえ私は思っています。

笑気は吸入後2~3分すると「効いて」きます。濃度を一定にしていますので、そのままの気分が持続します。鼻から吸って 鼻から呼出します。つまり、肺の中で血中に移行するのですが、吸入を止めれば笑気は再び肺から体外に排泄されるので、数分 経過すればほとんど醒めます。(文献によれば、吸入を止めて30分後で80%以上排出されますので、帰宅には車を運転して も大丈夫です。)

以上は、雨宮義弘「笑気吸入鎮静法の反省」日本歯科評論 昭和51年6月、 および、久保田康耶 他編集「歯科麻酔学」昭 和55年第3版 精神鎮静法の項より引用、医歯薬出版(株) および、鈴木長明「笑気吸入鎮静法(笑気アナルゲジア)の覚醒に 関する研究」日歯麻 誌、第2巻第1号 1974年より引用しました。