歯を失うということ
1本くらい歯が抜けたって他の歯で噛めるから・・・と軽く考えておられる方は少なくないと思います。確かに抜けた場所によっては抜ける前とさほど変わらず食事や会話が楽しめるかもしれません。しかし、歯を1本でも失った場合、なぜ私たち歯科医師は抜けた部分を補おうとするのでしょうか。
歯を支える骨は常に再生をしていますので、歯が抜けて空間ができると隣の歯が徐々に傾いてきてしまいます。さらにそのままの状態にしておくと、抜けた歯の隣や上の歯だけにとどまらず、ほかの歯もどんどん移勤してきてしまい、全体の歯ならびや噛み合わせもにも悪影響を与えます。噛み合わせが悪くなると噛む力が均等に分散されず余分な力が加わり健康だった歯にも大きなダメージを与えてしまいます。 また、歯ならびが悪くなると、歯ブラシがしづらくなり、みがき残しができて、むし歯や歯周病にかかるリスクもぐっと高くなってしまいます。
いかがでしょうか。例え1本の歯がなくなったとしても、お口の環境は想像以上に悪い方向へ変化していくという認識が非常に大切です。歯が無くなることは自然界では「死」を意味します。幸いにも私たち人間は失った歯を補う技術を持っています。残った歯を守るために、将来もずっと健康で生きいきと過ごせるように一緒に最善の方法を考えていきましょう。
失った歯の治療方法
歯を失ってしまった場合は機能や見た目を回復する為の選択肢として、入れ歯、、インプラントの3つの方法があり、 以下にこれらの治療法についてご説明いたします。
部分入れ歯は失った歯の周囲の歯に金属の留め金をつけて、固定する方法です。ご自身の歯茎の上に人工の歯茎と歯がのります。比較的短期間で作成でき取り外し可能なのでお手入れしやすいことが特徴です。一方、総入れ歯の場合、噛む力は天然の歯の役30%程度と言われています。
ブリッジによる治療は失った歯の両隣りの歯を削り、削った歯を支柱として被せて欠損部を補う方法です。ブリッジという名前の通り、橋渡しのように補う方法ですので1本歯を失った場合は最低でも3本一組。2本失った場合は最低でも4本一組といったように、何本かの歯がセットで治療が必要になります。入れ歯に比べ違和感も出にくく、見た目も素材によっては天然の歯と見分けがつかないほど美しく仕上げることも可能です。
インプラント(人工歯根)は、歯を抜いた後の顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を被せて、噛み合わせを作ることで、再び自分の歯のように噛む機能を回復させる治療法です。インプラント治療によって、天然の歯とほとんど変わらない感覚で、食物を噛んだり、会話を楽しむことができます。 インプラントで回復した歯は、固定性のものなので、入れ歯と違い噛むことが難しかった物も噛めるようになり、ガタつきや違和感もなく、自分の歯と同じ感覚を得ることができます。
入れ歯の違和感が気になる方やブリッジによる両隣の健康な天然歯を削りたくない方には非常に有効な治療法です。
それぞれの治療方法のメリット・デメリット
最後に
いかがでしょうか。もし私自身が歯を失ったら間違いなくインプラントを選びます。しかしそれはその時点で自分がインプラントのできる条件が整っている場合です。どの治療法を選択するかは人それぞれです。どの方にもインプラントが最善の方法というわけではありませんのでよくご相談のうえ治療法を決定していきましょう。
歯を失った後、また食べられるようにする治療
歯を失った後、何かしなくてはいけないな。でも、食事は反対側で噛めばできるし、奥歯だから見た目に気にならないし、そのままにしてしまっているけど大丈夫かな。そう感じている人は多いのではないでしょうか。歯がなくなってしまったままにすると起こる、お口や体の変化については『歯を失うということ』でお話しさせていただきましたのでご参照ください。入れ歯は歯を失った後も、また食べられるようにする治療です。とはいえ入れ歯とはどういうものなのか、どんな種類があるのか、本当に噛めるのか。様々な疑問をお持ちだと思います。こちらでは入れ歯について、見た目や噛みやすさによって作られる種類、お手入れの注意点までお話します。
どんな症例にも幅広く対応出来る『入れ歯』という選択肢
歯を失ったときの対処法は大きく分けて入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。当院では患者さんにきちんと説明し、患者さん自身に選択していただくようにしています。詳しくは『歯を失うということ』をご参照ください。
もし私自身が歯を失ったら、間違いなくインプラント治療を選びます。
しかし残念ながらインプラント治療も万能なわけではなく、インプラント治療が適さない場合があります。例えばインプラント手術への不安を抱いている方やアゴの骨の状態が思わしくない方・全身疾患を持っている方の場合は制限があります。その点、入れ歯であれば、幅広い症例に対応出来るという特長があります。入れ歯は最も古い歴史を持つ治療方法ですが、他の治療法と同様に技術は日々進歩し新しいものが提案され続けています。当院はその新しいものを常に採用し患者さんに提供しています。
入れ歯は『異物』です
入れ歯は『義歯』とも呼ばれます。その名の通り治療に使う素材は全て本物の歯とは違う造り物です。入れ歯を入れさえすれば何でもバリバリ自分の歯と同じように食べられると思ってらっしゃる方もおられますが、そうではありません。総入れ歯(総義歯)の場合、天然の歯に比べ噛む能力が30%程度だと言われています。義足や義手と同じで、自身の歯には敵いませんし、ある程度噛めるようになるには必ずリハビリ期間が必要です。
当院ではこの入れ歯に慣れる練習を大切にしています。治療が終わり、入れ歯を付けたら終わりというわけではなく、むしろそこから先が重要と考えます。長く入れ歯を使っていただくため、適切なアドバイスと術後の調整をさせていただきます。
入れ歯の現実その2
それではなぜそんなにも入れ歯で困っていらっしゃる方が多いのでしょうか。「痛い、噛めない、はずれる、しゃべりづらい」に関しましては保険で作られた入れ歯でも調整することで快適に使用できるようになりますのでご相談ください。しかし稀に保険の入れ歯をどんなに調整してもお悩みが解消されない場合があります。それは顎の骨の量や形であっ たり、お口の中での入れ歯の感じ方が人それぞれ違うところにあります。最善を尽くしてもそこに限界があることも事実です。もちろん保険の範囲内でぴったり合う入れ歯が叶えばそれに越したことはありません。
しかしなぜ限界があるのでしょうか。それは日本の保険の制度上、健康保険を用いた入れ歯に使える材料が細かく取り決められています。一方、保険の適応外で入れ歯を作る場合はこのような制約がありません。ですのでぴったりと合った入れ歯や、銀色のバネが見えない入れ歯など患者さんのご希望に合った最適な入れ歯を作ることができるのです。治療費はすべて患者さんの自己負担になってしまいますが、こうした前提のうえで「保険外」で作る入れ歯と「保険」の入れ歯の違いについてお伝えしていきます。
入れ歯の種類
入れ歯は総入れ歯と部分入れ歯の2種類に分かれます。これは保険の入れ歯も保険適応外の入れ歯も共通の分け方です。
上顎と下顎、それぞれに歯が1本も残っていない場合は、総入れ歯になります。
保険診療で受けられる場合は、素材がすべてプラスチック(レジン)となります。それ以外の素材を希望される場合は、保険の適用外となります。
ご自身の歯が1本でも残っている場合は、部分入れ歯になります。
部分入れ歯の構成は、自分の歯の代わりとなる人工歯と、粘膜の上に乗る入れ歯の歯茎(義歯床)、これらを残っている歯に固定するためのクラスプ(留め具)からなります。
保険適用の場合の素材は、人工歯と義歯床はプラスチック(レジン)でクラスプは金属となり、その他の素材をご希望される場合は、保険適用外(自由診療)となります。
メリット |
費用負担を抑えられる 主な素材はプラスチックですので、破損が生じても修理がしやすい |
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デメリット |
使用できる素材が決まっている 義歯床の素材はプラスチックなので臭いや汚れが吸着しやすい 長期間の使用で変色やすり減りが起こりやすい 製作するうえで一定の厚みが必要となり、それが強い違和感となることもある 総入れ歯の場合は、プラスチックの面積が広がるため、食べ物の味や温度がわかりづらくなることがある 保険の制度上、保険診療で作りなおす場合は作製日から6カ月以上空けなければならないルールがある |
保険診療のような細かい規制がないので、素材や構造などを工夫し、患者さんの要望に近づけることができます
メリット |
様々な種類から選べ患者さんの要望に近づけることができる 保険の入れ歯がもつ問題をカバーし、使い心地や見た目を追及することができる |
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デメリット |
全額自己負担となるため費用が大きくなる 保険のもの、保険適応外のものに関わらず入れ歯を長い間使用していると顎の骨が痩せやすい傾向にあり、その際は入れ歯の作り変えが必要となる |
快適な入れ歯『金属床義歯』(保険適応外)
保険外となりますが快適な入れ歯(金属床)についてご紹介いたします
口の中はとても敏感で、髪の毛が1本入っても不快感があるほどです。 このため、保険外の入れ歯で使用する金属が主体の材料の場合、保険のものに比べ最大で約1/6の薄さで作ることが可能です。そのため違和感が少なく発音もしやすくなります。
保険のプラスチック(レジン)の入れ歯を入れると、温かい・冷たいといった食べ物の温もりをなかなか感じづらくなってしまいます。特に総入れ歯や、大型の部分入れ歯の場合、歯茎や、上顎を覆う面積が増えるためそういったお悩みを抱える方は少なくありません。食べ物の温もりは味覚に大きな影響を与えます。このため保険外の入れ歯では温もりを感じられる材料(熱伝導率の高いもの)を使用します。
コバルトクロム
金属の特性として薄く仕上がり違和感が少なく、熱伝導性に優れているため、熱い・冷たいといった感触を感じやすくおいしく食事ができる、もっとも一般的な金属床義歯です。
チタン
上記の金属特性に加え、アレルギー反応を起こしにくいという利点が加わった入れ歯です。(ただしチタンにアレルギーのある方は使用できません)また軽くて丈夫というチタンの特性をいかしコバルトクロムに比べ、より薄く作ることができます
金属床の総入れ歯
金属床の部分入れ歯
「 美しさ」を追求した入れ歯『スマートデンチャー』(保険適応外)
部分入れ歯にして、大きく笑うことをためらうようになったというお話をよく耳にします。部分入れ歯になってかめるようになったけど、バネが他人から見えるので恥ずかしい。仕方ないので、お出かけの時を入れ歯は外してでかける。作った私たちとしてはとても淋しいことですが患者さんのお気持ちは解ります。一般に部分入れ歯は、自分の歯の代わりとなる人工歯と、粘膜の上に乗る入れ歯の歯茎、これらを残っている歯に固定するためのクラスプ(金属の留め具)からなります。場所によっては、このクラスプが見えてしまい他人に入れ歯だと気づかれてしまうことがあります。スマートデンチャーは通常金属のクラスプが、ピンク色のアームになっていますので入れ歯をつけていることが他人に気付かれにくくなります。部分入れ歯の見た目のコンプレックスから解放され、とびきりの笑顔で笑っていただきたい。それを実現できる美しい入れ歯が『スマートデンチャー』です。
スマートデンチャー
保険の入れ歯
スマートデンチャー
保険の入れ歯
近年、お口の中に装着している義歯や詰め物など、歯科で使用される金属が原因となり、顔・全身にアレルギー症状を発症する方が増えています。先ほどもお話ししましたように一般的な部分入れ歯は必ず金属のクラスプがつきます。スマートデンチャーは金属を使用しませんので、金属アレルギーの方はもちろん、今は金属アレルギーでなくても今後が心配な方も安心して使用していただけます。
*強度を高めるための金属で補強したスマートデンチャーをご希望の方はご相談ください。
さてスマートデンチャーの一番の特徴である見た目の美しさについては前述いたしましたが、その他にしっかりお伝えするべきことがあります。確かに目立たないため、お出かけ用の入れ歯としては良いと思いますが、入れ歯の本来の目的であるしっかり噛め、機能できるかどうかは別問題です。スマートデンチャーに用いられる樹脂は強度がけっして強いわけではないため、左右の奥歯にまたがるような大型の入れ歯には不向きです。したがって『しっかり噛める入れ歯』をご希望の方には全くお勧めいたしません。また修理や調整が難しい点においても長期間ずっと快適にお使いいただくには限界があります。どんな入れ歯にも利点があれば欠点もあります。その点をしっかりご理解いただいた方にのみお勧めしております。
また特性を理解していただいた上で、スマートデンチャーにできるだけ強度をお望みの方には、金属で裏打ちしたスマートデンチャーのご用意もありますのでご相談ください。
入れ歯のお手入れ方法
入れ歯の特性を知る
入れ歯は乾燥すると変形し痛みの原因となります。
入れ歯は落下などの衝撃に弱いため注意が必要です。
入れ歯を清潔にする
毎日、毎食後就寝前に入れ歯の清掃をしてください。
入れ歯を外してから清掃します。自歯が残っている方は必ず歯のお手入れも忘れずに行ってください。
入れ歯の清掃は水で洗いながら『入れ歯専用ブラシ』もしくは『歯ブラシ』で行います。この時洗面器の中で清掃すると入れ歯を床などに落とすことが少なく安全です。
入れ歯の清掃に歯磨き粉は厳禁です(入れ歯に細かなキズができ汚れや細菌が付きやすくなります)
入れ歯の中に侵入した細菌はブラッシングだけでは完全に除去できません。週に1~2回は入れ歯洗浄剤を併用することをお勧めします(逆に入れ歯洗浄剤だけでは全ての汚れを除去できません。しっかりブラッシングしたのちに使用することではじめて洗浄剤の効果を発揮します。)
就寝時は入れ歯をはずす
就寝時の口腔内は特に細菌が繁殖しやすいため、入れ歯を装着したまま寝ると細菌が繁殖し歯茎に炎症を起こします。
一日中噛む力を受け止めた歯茎はとても疲れています。就寝時はしっかり休ませましょう。
理由があって就寝時に入れ歯を外せない場合は、それ以外の時間帯で外す時間を作りましょう。
インプラント治療とは
虫歯や歯周病、突然の事故など、人は様々な原因で歯を失います。歯を失うことで、食べ物がよく噛めない、正しく発音できないなど、体の問題ばかりでなく、食事を楽しめない、人前で自然な笑顔が作れない、年老いて見えるなどの心の問題と深くかかわっています。
歯を失うとブリッジや入れ歯が一般的な治療法として行われています。
ブリッジにしたけれど
健康な歯を削ってしまうことになった
支えている歯が痛んでしまい、結局抜くことになってしまった
健康な歯とブリッジの歯の色が違って見える
部分入れ歯にしたけれど
銀色のバネが見えて恥ずかしい
口臭が気になる
歯に比べると大きくて、使用感が悪い
総入れ歯にしたけれど
ガタガタして、硬いものが噛めない
食事の際、入れ歯と歯茎との間に食べ物が入り込む
歯茎がやせてきたので、作り直さないといけない
インプラント(人工歯根)は、歯を抜いた後の顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を被せて、噛み合わせを作ることで、再び自分の歯のように噛む機能を回復させる治療法です。インプラント治療によって、天然の歯とほとんど変わらない感覚で、食物を噛んだり、会話を楽しむことができます。 インプラントで回復した歯は、固定性のものなので、入れ歯と違い噛むことが難しかった物も噛めるようになり、ガタつきや違和感もなく、自分の歯と同じ感覚を得ることができます。また、周囲の歯を削ることもありませんので、見た目も自然です。
インプラントはチタンで出来ており、そのものが曲がったり、割れたりすることはありません。また、当然虫歯にもなりません。ただし、永久的なものではありません。定期検診を怠ると、インプラント周囲炎になることがありますが、日頃の歯磨きと定期検診を継続していくことで、長く機能させることができます。
インプラント治療は、患者さんの症状や希望に合わせて行います。条件によってできること、できないこと、骨や歯肉の治療が必要になる場合があることなど、すべての患者さんに同一の治療を適用できないため、適応できるかどうか、全身的な健康状態の確認、骨の状態など、レントゲンやCTなどで、より精密な検査をし、綿密な治療計画を立てます。もちろん治療費も変わってきます。
その方に応じた治療計画や治療費などを、良く理解した上で始めることをお勧めします。 まずは、担当医に十分に相談されてから、納得した上で自分にあった治療を選択されるようにしましょう。
全身的な問題がある方
重症な全身疾患のある方(糖尿病、肝臓病、心臓病、血液疾患のある方)
頭蓋、顎骨部に放射線治療を伴う既往歴のある方
ヘビースモーカーな方
薬物やアルコール中毒の方
妊娠している方
局所的な問題がある方
顎の骨の少ない方(場合によって顎の骨を再生する手術を追加することがあります)
虫歯、歯周病を治療していない方
歯ぎしりの極端に強い方
重症の全身疾患がある方は、それぞれの担当医師に相談して下さい。全身にわたる病気をお持ちでも、日常生活に問題がなく、病状がコントロールされていれば、治療は可能です。
年齢は一般的に、成長期が終わってから(20歳が一つの目安)になりますが、全身的、局所的に問題がなければ、年齢の上限はなく、どなたでも受けることができます。
口腔内について、治療に際しては、お口の中を常に清潔に保つ意欲が必要となります。協力が得られない場合には、治療を断念することもあります。
長所
自分の歯とほぼ同じ感覚で噛むことができるので、違和感がなく、味覚が低下しません。
周囲の健康な歯を削りません。
周囲の歯に負担をかけないので、残っている歯の保護になります。
噛み合わせが安定します。
見た目は自然で、人前で気にせず食事やおしゃべりを楽しむことができ、自信へとつながります。
自然な表情や楽しい食事は、体の健康を保つだけでなく、心までも健康にします。
短所
外科手術が必要なので、全身疾患(重度の糖尿病、血液疾患、甲状腺機能亢進症、腎障害、重度の高血圧、重度の肝機能障害、重度の心臓疾患、妊婦、膠原病、骨粗鬆症など)をお持ちの方は適しません。ただし、内科的に病状がコントロールされ、日常生活に問題がなければ可能です。
虫歯や歯周病の治療をされていない方、埋め込む部位の骨が少ない場合は治療できない事もあります。
インプラントと骨が結合するまで約2~6か月かかりますので、治療期間が長くなります。
永久的なものではありません。
治療は保険適応外になります。(使用するインプラントの種類や本数、被せる人工歯の種類、症例の難易度によって費用が異なります。事前によく相談してから進めましょう)
はじめに
歯の無くなってしまった所に、インプラント治療を受けたいと考えた時、ほとんどの患者さんは、歯周病か虫歯で歯を失っています。その原因を明らかにしないまま、歯を失った部分だけをインプラント治療したとしても、長く安定して機能させることは望めません。
お口の全体の問題として、原因を理解し、それに対する治療をした上で、それぞれの患者さんに応じたリスク診断をします。お口全体及び全身的な状況を把握し、将来長きにわたって良い状態で機能出来るような治療計画(包括的治療)を立てていくことが大変重要です。
そのため当院では、場合によっては、インプラント治療を希望されてお見えになられた患者さんであったとしても、包括的な診断の結果、インプラント以外の治療が適していると思われることもあります。
そのような場合はインプラントを勧めず、患者さんに最も適した治療方法をご提案させていただいて、十分に相談し納得のもとで治療を行うようにしています。
まずは問診でしっかり患者さんのご希望を伺います。インプラントを歯のない場所に、ただ入れるということでなく、術前にお口の状態、虫歯や歯周病の治療、それぞれの患者さんに応じたリスクの軽減、噛み合わせ全体を考慮した治療計画を立て、必要があれば先に治療を行います。
そして、お口の中の状態がしっかり安定したところで、インプラント治療に移っていきます。この時、レントゲンやCT、模型などからの得られる情報を総合的に判断して計画を立てていきます。
インプラント治療には、歯周病の状態を無視できない現実があります。歯周病の改善を図らないままのインプラント治療は、長期的に見た場合、快適で安定した状態を望むことはできません。
インプラント治療前の、口腔内状態がしっかり管理された状態でインプラント治療を行い、またその後も、長きにわたって、お口の中が良い状態で維持出来るような、継続したメインテナンスが必要になるのです。
インプラント治療を行うにあたり、まず十分な診査・診断が重要になります。これは、患者さんに、より安全で安心して治療を受けていただけるよう努めているためです。
通常のレントゲンでは、2次元的にしか骨の高さを知ることができません。それに加え、CT(断層撮影)を用いることで、3次元的な情報が得られるため、骨の高さのみでなく、骨の幅、骨の密度、インプラントの埋入方向・深度を予測することが可能になります。そのため術前に得られる情報が多く、術中の迷いや予想外の事に対しての対応など、失敗のリスクを軽減することができるのです。
現在、インプラントの数は50種類以上に及びます。その中で、なぜカムログインプラントを使用しているのか?
カムログインプラントシステムは、25年にわたる基礎と臨床研究に基づいて、ドイツで開発された最新のシステムです。
カムログの一番の特徴は、顎の骨の中に埋め込むフィクスチャー(人工歯根)があり、その上に人工歯がかぶるわけですが、その両者をつなぐアバットメントの連結部分が非常に強固に出来ているということです。
インプラントの内面には3つの半円形のくぼみ(ノッチ)が付けてあり、アバット外面に は、これに対応した3か所のふくらみ(カム)が付けられています。これらが、精密にかん合することで、フィクスチャーとアバットが一体化し、この
強固な連結により、長期間使用しても、土台部分が緩むことがなくなり、単独で入れても安心して使用できるようになりました。
この構造によって、従来のインプラントの弱点を改善することができ、長く機能する重要な役割を果たしています。これは、カムログの特許ですので、他のインプラントにはありません。
それぞれ個人差がありますので、当院では一区切りにせず、5~10年とさせていただきます。これは、しっかり定期検診を受けたか、きちんと磨けているか、噛み合わせの強い方はマウスピースをしっかり入れていただいていたかによります。どなたにも均一の治療でないため、ある程度の幅をもたせていただいています。
インプラントは大変有益なものです。だだし、永久的なものではございません。定期的な検診・正しいブラッシングを行い、口腔内をメインテナンスしていく事により、長期にわたり使用することが出来ます。その必要性を理解し、定期検診を怠ったことにより引き起こったトラブルに関しては、一切の責任を負いませんのでご理解下さい。
ただし、急な全身疾患でインプラントにダメージが及んでしまった場合を除き、検診を受け、万が一、保証期間内に予後不良部位がございましたら、無料にて再埋入致します。この時、解剖学的に無理と判断された場合には、無料にて補綴物を作成致します。また、上部構造についても、保証期間内であれば、無料にてお直し致します。
転勤、引っ越し等、検診を継続できなくなった場合には、一度ご相談下さい。
以上についての確認が必要になります。
院内にインプラントの詳細についてまとめたファイルがございますのでご不明な点がございましたらお申し出下さい。
最後に
インプラントは費用も期間もかかります。十分相談してから進めてまいりましょう。分らない事、不安な事もあると思いますので、どうぞお声をかけてください。
院長:星谷雄太
歯学博士
日本口腔インプラント学会会員
日本インプラント臨床研究会会員
カムログアカデミー会員
森宏美
臨床歯周病学会会員
日本口腔インプラント学会会員
カムログアカデミー会員
インプラント治療の流れ
患者さんのご要望をお聞きします。また、お薬の確認、喫煙の確認をします。喫煙者と歯周病、インプラントの関係は 非喫煙者よりも、リスクがあることが、研究報告されています。
当院では従来のものよりはるかに被曝線量の少ない体に優しい最新の歯科用CTを導入しております。
1定期的な消毒、予後観察
2骨の状況によりますが、埋入手術をしてからインプラント と骨が結合まで約2~6ヶ月かかります。
歯磨きがしっかりできているか
他に残っている歯の虫歯・歯周病のチェック
インプラントの周囲に炎症を起こしていないか
かみ合わせは正しいか
などを確認します。
インプラントは自分の歯で噛む感覚を取り戻せる魅力的なものですが、自分の本来の歯とは構造が違います。定期的なクリーニング、噛み合わせの確認を怠ってしまうと、歯周病と同じように、インプラント周囲炎を起こし、最悪の場合、インプラント自身が抜け落ちてしまうということにもなりかねません。これを防ぐには、まず、毎日の正しいお手入れと定期検診が必要になります。 万が一、定期検診を受けず、何らかのトラブルが起きてしまった場合には、保証しかねますので、ご理解お願いします。何より、インプラントを良い状態で長くお使いいただくため、共に大事にインプラントと付き合っていきましょう。
手術に際しての注意点
01手術当日に備えて体調を整えておいてください。十分な栄養・休養が必要です。あらかじめ止めておく必要なお薬がある場合は、事前にお話します。
02体調がすぐれない時には、ご自身で判断せず早めにご連絡下さい。
01口周囲を清潔に保つため、男性の方はひげをお剃り下さい。女性の方は口紅をしないで下さい。
02降圧剤を飲まれている方は、通常通りお飲みください。
03空腹は良くありません、食事は軽くすませておいて下さい。
04楽な服装にてお越し下さい。締め付けるものは避けましょう。
05十分にブラッシングをしてきて下さい。
01インプラントに限らず、外科的な治療は、一般的に、痛みに関しては麻酔が覚めてから、2日目がピーク、2~3日後に腫れが出ることがあります。これは、外科処置に伴う正常な反応です。感染・腫れ・痛みなどに関しては、抗生物質・消炎鎮痛剤で対応いたしますので、指示通りお飲み下さい。担当医もこれらには十分注意を払っておりますので、ご安心下さい。尚、服用にて異常が認められた場合は、中止もしくは薬の変更をしますので、すぐにご連絡下さい。
02縫った糸が取れてしまうと、感染の危険がありますので、大きく開口したり、舌で触れたりしないで下さい。糸が外れていないか、感染の兆候がないか確認、消毒いたします。糸は約1週間~10日後にお取りしますので、それまでは患部に歯ブラシを直接当てないようにしてください。他のところは通常通りしっかりお手入れをしてください。歯ブラシをかけ始める時期はご指示申し上げます。
03稀に2~3日後に青あざが出来ることがあります。これは、骨から歯肉をはがすことにより、粘膜の下に出血したためですが、2週間程度で血液は吸収され、正常な皮膚の色・状態に戻りますので、心配は要りません。この時、冷やしますと、血行が悪くなり治りが遅くなるので、そのままにしておいて下さい。
04稀に外科手術の影響にて、一時的に頬や唇のしびれやピリピリ感が出ることがあります。
05なるべく見た目やお食事に支障が出ないよう配慮していますが、義歯をお使いの方は、インプラント埋入部位により一時的に義歯の使用を中止していただく場合があります。
これらの術後の反応や体調管理、消毒などの理由から、術後すぐのご旅行・ご出張はお控いただいた方が良いと思われます。
起こりうるトラブルについて
早期に起こるものと、噛みあわせを作った後に起こるものに分けられます
これは手術をしても、最初から骨とくっついていないことが考えられるので、早い時期にインプラントが揺れてきてしまいます。
この場合、その原因を取り除き、状態を改善した上で、再度入れなおすことが出来ます。しかし、元の状態より骨の量が少なくなっているので、より難しくなる傾向にあります。
現在、多数の歯科医師がインプラントを行っていますが、インプラントを入れることが先行し、歯周病をしっかりコントロールしていない歯科医師がインプラントを行った場合にはリスクが高くなります。インプラントを長く安定した状態で、快適に機能させるためには、再発してしまう歯周病を長きに渡り管理し続けていかなくてはならないからです。 なぜならば、歯周病原菌がインプラントの周囲に感染を起こして、インプラントの周囲に結合した骨を破壊してしまうからです。炎症が進むことで、歯肉からの出血や腫れを起こし、最終的には、インプラントを取り除かなくてはならない、もしくは、インプラントそのもの自体が、抜けてしまうという状況になってしまいます。いわゆる、インプラント周囲炎といわれる病気です。
これは、全く歯周病の感染と同じ過程をたどるものであり、治療も歯周病の治療に順じて行います。まず、炎症を取り除くために、お口全体の環境を改善し、感染のリスクを下げる。また、歯肉の状態を改善するために外科的な治療が必要になります。そして、出来るだけその進行をくい止めるようにします。
残念ながら、インプラント周囲炎を起こす患者さんは多くなっています。一度、感染が起こると、その進行は天然歯よりも、骨の破壊のスピードが速く、さらに、インプラントの性状が、治療を複雑で困難なものにしています。ですから、なるべく感染を起こさせないようなお口全体の管理をしていくことが重要になってくるのです。なぜなら、インプラント周囲炎を起こすのは、他に残っている歯の歯周病原菌の伝播により引き起こされるものだからです。
そのため、かぶせものを入れ快適に噛むことが出来ていても、インプラントの周囲に感染は起きていないか、他の歯に、インプラントに感染を起こすような、歯周病がないかを確認するための、プロによる定期的なチェックを受けることが重要ですし、たとえ、周囲に感染が起きたとしても、早期の状態でその病状に気付き、適切な治療が行える歯周病に精通した歯科医師であることは、重要なことだと考えます。お口の状態を良いままで管理できる、予防処置を長きにわたって続けていくことが、大切なのです。
インプラントを長持ちさせるには
インプラントに歯をかぶせ噛めるようになったら、それで終わりではありません。ここから、長期に渡り快適にお使いいただくかどうかが大切になってきます。インプラントは骨にしっかり支持されて動かず、見た目も自然なため、入っていることを忘れてしまいがちです。これは、もちろん良いことですが、インプラントと歯周病には、無視できない関係があります。
インプラント自体はチタン製でとても丈夫ですが、その周囲に感染を起こしてしまった場合には、インプラントを取り除かなくてはならなくなったり、もしくは、抜けてしまう事があるからです。これをインプラント周囲炎といいます。
この病気にならないためには
インプラント治療を受ける前に歯周病をしっかり治す
インプラント治療を受けた後に定期検診を受け、再発しやすい歯周病を管理する
なぜなら、この原因菌は歯周病原菌と同じもので、同じ感染過程をたどります。他の歯に歯周病があれば、インプラントの周りにも同じことが、十分に起こりうるからです。
インプラントがただそこにとどまり、噛めているかだけでなく、お口全体の歯周病治療をしっかり行い、その状態を継続させていくには、プロフェッショナルケアとホームケアは欠かせません。
天然歯は、歯根膜があり噛み合わせの力を逃がすクッションの役目をします。インプラントは、骨と直接結合するため、歯根膜がありません。したがって、天然歯の状況は変化しますがインプラントは移動しませんので、調整が必要になってきます。また、お口全体の、虫歯や歯周病のチェックが必要です。
特別な清掃方法が必要な訳ではありません。天然歯と同様に、毎日のお手入れが重要です。インプラントの周囲のアフターケアも基本は歯ブラシです。各々の状況に応じて、歯間ブラシやデンタルフロスの使用をご指導します。
なお、お引越しや転勤などで継続して定期検診を受けられなくなる場合は、一度ご相談ください。
治療について
Q治療期間はどのくらいですか?
A 骨の状態にもよりますが、インプラントを埋め込んでから、骨とインプラントが固定するのを待ちますので、最終的な物が入るまでには、3~5ヵ月が目安です。
Q検査費用と期間はどのくらいですか?
A 1~2週間で準備をします。CT撮影を他院で受けていただきますので、別途ご負担いただきます。
Qインプラントはどこで受ければいいですか?
A 現在はインプラントに精通した歯科医師は徐々に増えてきました。必ずカウンセリングをお受けになり、納得して始められるよう、十分相談することをお勧めします。また、インプラントは長いお付き合いになりますので、メインテナンスまでしっかり対応してくれるところが望ましいです。ご自身にあったところで受けられることが大切です。そのために、セカンドオピニオン、サードオピニオンを受けられるのもいいでしょう。
Q違う所で受けたことがあるが、病院を変えても大丈夫ですか?
A しっかりしたメーカーのインプラントであれば、ある程度の互換性があるので、対応することは可能です。ただし、治療の途中での変更はなるべく避けるようにしましょう。転勤等、やむを得ず通院できなくなる場合には、一度相談してください。
Q他の歯科医院で断られたけど可能ですか?
A 可能なこともあります。インプラントの種類や設備、歯科医師にも差があります。いろいろお調べになられることをお勧めいたします。
Q味覚は変わりますか?
A 変わりません。かえって、しっかり噛めるようになるので、食事が楽しく、美味しく感じられるようになります。
Qインプラントにリスクはないのですか?
A リスクはあります。外科手術が必要であること。この時気をつけないといけないポイントがありますが、術前の検査、シュミレーションにて、十分検討致します。また、お手入れを怠るとインプラント周囲炎になります。
Q健康への悪影響はないですか?
A インプラントは手術を必ず伴いますので、何かしらの身体的リスクを伴う方には、慎重に対応させていただきます。
Q骨への影響はないですか?
A 現在では、97%が大丈夫とされています。
Q金属アレルギーは大丈夫ですか?
A 歯科領域のインプラントに関しては、アレルギーは極めて少なく、また、場合によってはないとされています。ただし、患者さんが他のアレルギーがあったり不安に感じている場合には、事前にパッチテストを受けることをお勧めします。
QCTやMRIによる検査は受けられますか?
A 現在、インプラントが入っていても、CTやMRIの検査を受けることに支障はありません。ただし、磁石の金属を使用している場合には、インプラント上についている磁石をいったん外すこともあります。
Q暫く治療を受けていませんが、インプラントはできますか?
A まず、虫歯や歯周病の治療をし、お口の中の環境を改善してからの治療になります。お口の中を常に清潔に保つ意欲が基本的に必要ですので、協力が得られない場合には、治療を断念することもあります。
手術について
Q手術は入院が必要ですか?
A 通常、外来での手術になりますので、入院は必要ありません。稀に、全身的既往によって入院が必要になる場合もありますが、そういった場合には、口腔外科のある病院をご紹介いたします。
Q手術時間はどのくらいですか?
A ケースにもよりますが、30~60分程度になります。
Q手術前の準備は何か必要ですか?
A いつも通りで、特別なにもありません。十分な休養と食事をしっかり取っていただいて、楽な服装でいらしてください。術前のお薬に関しては、ご指示申しあげます。
Q術中は痛みますか?
A 局所麻酔が効いていますので、ほとんどありません。
Qどんな麻酔をするのですか?
A 通常の虫歯治療に用いるのと同じ、局所麻酔を使います。
Q手術後の影響はありますか?
A 多少のお痛みと腫れ、内出血などが出ることもありますが、日常生活には問題ありません。お薬を飲んでいただくこと、注意していただきたいことがありますので、ご指示申しあげます。
全身的な事について
Q年齢制限はありますか?
A 年齢の上限はありません。しかし、高齢者ほど全身疾患をお持ちの方が多いので、確認しましょう。年齢の下限はありません。しかし、一般的に成長発育が終了した時点が推奨されており、おおむね、20歳以上が対象となります。
Q性別の差はありますか?
A ありません。
Qどんな人が対象になりますか?
A 全身的な問題がない、または、あってもコントロールされている状態であり、埋め込む骨がしっかりとしていて、お口の中の治療が完了していれば、インプラントの適応症は広がっています。一度相談することから始めましょう。
Q全身疾患があるのですが、治療はできますか?
A コントロールされている状態であれば、治療は可能です。ただし、ご担当医師に確認・相談させていただきます。また、50歳以上で今まで検診を受けていない方でしたら、これを機会に全身的な検査を受けられることをお勧めします。
Qタバコを吸っていますが大丈夫ですか?
A タバコは歯の喪失と深く関わっています。これは、インプラントも同じです。治療にあたって、歯肉の治り方も違ってきます。タバコを吸っていてもインプラント治療は可能です。ただし、吸っていない方と比較すると、リスクは高くなると考えられています。この機会にぜひ禁煙されてはいかがでしょうか。
噛み合わせを作る事について
Qインプラントを埋めてからかぶせるまではどうなりますか?
A 埋めてからインプラントと骨がつくまで、2~3ヵ月間待ちますので、その間は仮歯や入れ歯など、状況に応じて対応します。
Q歯の色が違ってしまいますか?
A ご自身の残っている歯の色に合わせてつくりますので、自然に仕上がります。
Q他の歯への影響はありますか?
A ありません。削ったり、入れ歯のバネをかけたりすることがありませんので、これがインプラントの最大のメリットです。
Q硬いものは噛めるようになりますか?
A 噛み合わせが安定しますので、硬い物もしっかり噛めるようになります。特に、入れ歯を使われていた方は、びっくりするほど変わります。
Q自分の歯と感じが違いますか?
A 慣れるまでは今までとは、多少感覚が違うかもしれませんが、個人差はありますが、数日で慣れていただけます。
価格について
Q歯科医院によって値段が違うのは何故ですか?
A 使用するインプラントの種類や材料が違います。また、保険外診療は各歯科医院で独自に決められています。カウンセリング時に相談して下さい。
Q支払方法は?
A 基本的に手術の日に半分、被せものの準備に入ったときに半分いただきます。カードの取り扱いもございます。何かございましたらご相談ください。
メインテナンスについて
Q毎日のお手入れは特別なことが必要か?
A 特別なことはありません。ご自身の歯と同じように、歯ブラシを丁寧にしてください。補助的な器具を使っていただく場合もありますが、お手入れは残っている歯と同じように出来れば大丈夫です。
Qどのくらい持ちますか?
A どのくらいもつかは、歯のお手入れによって異なります。チタンという材料自体は体内にて半永久的に大丈夫だと言われています。日頃のお手入れと、3ヵ月~6ヵ月毎の定期的なメインテナンスを行っていくことで、長くお口の中で機能できるように保っていきましょう。もしこれを怠れば、寿命は短くなります。
Qメインテナンスはどのくらいで行ったら良いですか?
A 個人差もありますが、当院では約3ヵ月毎の定期検診をさせていただくようにしています。お葉書にて時期をお知らせしています。
Q保証期間はどのくらいですか?
A 当院では、個人差によりますが、5~10年といたします。これは、定期的な検診をしっかり受けていただくこと、歯ぎしりの強い方にはマウスピースを使用していただくこと、など等守っていただかないといけないことがありますので、一区切りにはしていません。これを怠ったことにより引き起こったトラブルには、対応しかねますので、ご理解ください。
歯ぎしりは病気でしょうか
寝ている時にギリギリ音をたてる「歯ぎしり」。本人はほとんど自覚していないことが多く、旅行に行って同室の友人から「あなたの歯ぎしりが気になって眠れなかった」と安眠妨害を指摘されて初めて気が付くようです。その結果、それ以来友人と旅行にいけなくなった人がいるほどです。歯ぎしりは睡眠中に上下の歯を強く噛みしめ(もちろん無意識)しかもすり合って異様な雑音を出す状態です。歯科では(医科でも同じと思いますが)ブラキシズムと言います。
雑音を発生させないけれども上下の歯の強い噛みしめがおよび雑音が聞き取りにくい程度の状態も歯ぎしりと考えられています。正常な人でも睡眠中に約15分位は歯ぎしりをしているそうですから、歯ぎしりをしているそうですから、歯ぎしりを病気とするか否かの線引きは難しいものがあります。
しかし、歯ぎしりする人は一夜に約40分に及び、しかもその噛む力は正常時の数倍にも達するそうです。歯ぎしりは、噛みしめによって(異常に強い咬合力)破壊的な力を歯や歯ぐきにかけるので、起床時の顎の疲労感、こわばり、不快感等の自覚症状が一般に認められます。
更にこれが持続すると、歯肉掻痒感、前述の顎の症状、歯や歯周組織の損傷(歯が欠けたり、歯がグラついたりすること)、歯槽骨の隆起(コブのような骨のかたまり)、咬筋肥大(いわゆるエラがはったような状態)、顎の関節症、顔面痛、頭痛、頸肩部痛、耳痛などを起こすようです。
また中には、まれに情動ストレスや睡眠障害も起こし、体調不良、心身症やうつ病と同じような症状を訴える人もいるようです。こうなると、歯ぎしりは明らかに病的で単に口の中だけの問題ではなく、体の問題としても考えてはならなくなります。
歯ぎしりの原因については、ストレスなどの精神的なものと、咬み合せの問題とに大別されて論議されていますが、いまだにはっきりしていません。したがって治療法についてはほとんどが対症療法的なものになります。当院で主に行っている治療法は、スプリント療法(ナイトガードなどのマウスピースを入れる)と自己暗示療法です。
その他の治療法としては、薬物療法、理学療法、、バイオフィードバック療法、行動療法、咬合治療が考えられています。前述しましたが、歯ぎしりは正常な人にも認められる現象ですから、周囲の人に良く話しをして理解を得るように努めるとともに、あまり気にせずに「一生お付き合いするつもり」的な楽な気持を心掛けることが大切です。
※ 日本歯大 小林義典教授の文章参考
睡眠時無呼吸症候群
私たちは1日の終わりに十分な睡眠が取れれば、日中に疲れもなく快適に過ごせます。しかし、睡眠が不足すると日中の眠気や倦怠感のために仕事に身が入らなかったり、トラブルや事故の増加を招き、自分自身のみならず周りの人達にも大きな損害を与えることにもなります。
中でも、睡眠時無呼吸症候群は高血圧や糖尿病などの生活習慣病と密接な関わりを持ち、その有病率は3~4%とも云われ、極めて多い病気であることが明らかになってきました。また、放置された重症な無呼吸では、7~8年後の死亡率が37%との報告もあります。このように睡眠時無呼吸症候群は、医学的にも社会的にも放置できない重要な病気であり、その対応が急がれます。 睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の診断・治療には健康保険が適用になっています。ご自分の睡眠が少しでも気になる方は、医師にご相談下さい。
眠っている間に呼吸が止まる病気です。
気道(鼻や喉)が何らかの理由で塞がってしまい、呼吸ができず、窒息状態になります。
症状は、激しく大きないびきです。そのいびきが10秒以上、時には60秒位消失し、再度激しいいびきが出現、その繰り返しがみられます。
いびきは舌や咽喉の筋肉がとれて、空気の通り道が狭くなって発生します。
お酒を飲んだ時などの寝入りばなにかく一時的ないびきは心配ありませんが、ベットパートナーの睡眠を妨げるような大きないびきをかく人の7割に睡眠時無呼吸がみられると云われています。
成人喘息と同じ程度で、成人男性の4%、成人女性の2%と云われています。
小児にもこの病気があり、ほとんどアデノイドや扁桃線肥大が原因です。
太っている
首が短く太い
あごが小さい
舌や軟口蓋が肥大している
高血圧、糖尿病
かかりつけ医にご相談の上、睡眠障害専門医師の診断をお薦めします
診断には終夜睡眠ポリグラフ検査が必要です。この検査は一泊入院をし、あなたの睡眠と呼吸の状態を調べます。
この検査結果に基づき、医師はあなたに最も適した治療方針を決定します。
CPAP(シーパップ)
鼻にマスクを着けて空気を送り込み、上気道の閉息を防ぐ方法です。成人の閉塞性無呼吸の治療に最も効果的です。
歯科装具(マウスピース)
下あごを前方に突き出させるように工夫したマウスピースを着けて寝ると気道が広がり、いびきや無呼吸が消失します
外科的手術
肥大した扁桃線やアデノイドの削除鵜手術。
はい | いいえ | |
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昼間いつも眠い | ||
いくら寝ても眠い | ||
朝の目覚めがすっきりしない | ||
朝起きると頭が痛い | ||
居眠りをよくする | ||
記憶力・集中力が落ちてきた | ||
夜間、何度か目を覚ます | ||
夜間、何回もトイレに行く | ||
いびきがうるさいと言われる | ||
精神的に不安定になる |
上記の質問に3つ以上当てはまった方は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
かかりつけ医にご相談の上、睡眠呼吸障害医療施設での確定診断を受けることをお薦めします。
星谷歯科医院では「いびき・睡眠時無呼吸症候群」の専門外来・検査施設のある医療機関をご紹介致します。